心のクリニック 医療コラム
2025年12月24日
■「先延ばし」が不安を大きくする理由――5分だけ動くと頭が軽くなる

やるべきことがあるのに手がつかない。すると「自分はだめだ」「もう間に合わない」と考えが膨らみ、さらに動けなくなる――この悪循環は、心療内科・精神科(メンタルクリニック)への相談でもよく見られます。日吉周辺でも、仕事・家事・勉強の負担が重なる時期に、先延ばしと不安がセットで強まる方は少なくありません。ポイントは、意志の強さではなく“最初の一歩”を小さくすることです。

先延ばしは「怠け」ではなく脳の防衛反応
面倒・失敗・評価への緊張が強いと、脳は回避で負担を下げようとします。短期的には楽でも、未完了のタスクが頭の片隅に残り、心の余白が削られていきます。

「考える時間」が長いほど不安は増えやすい
着手前に完璧な手順を組み立てようとすると、想像の中で難易度が上がり、体が固まりやすくなります。悩みが深いほど、行動の前に“悩む癖”が育つことがあります。

5分だけ始めると切り替えコストが下がる
作業の苦しさは、始める前が最大になりがちです。タイマーを5分にして、準備(資料を開く、机を片付ける、1行だけ書く)まで含めて“開始”にすると、脳は次の行動へ移りやすくなります。途中でやめても「前に進んだ」という感覚が残ります。

環境を整えると「やる気待ち」から抜け出せる
スマホを手の届かない場所に置く、作業スペースを一つに決める、やることを付箋に1つだけ書く。こうした小さな仕掛けは、判断の回数を減らし、先延ばしの引き金を弱めます。