忙しい毎日の中で、「どうしても夜に十分な睡眠時間がとれない」と感じている方は少なくありません。残業や家事、育児が重なると、慢性的な眠気やだるさ、気分の落ち込みにつながりやすくなります。そんなときに心とからだをリセットする方法のひとつが、昼間にとる短い仮眠です。上手に取り入れることで、その日の集中力や気分を整え、夜の睡眠にも良い影響を与えることが期待できます。
仮眠は「10〜20分」が基本ルール
仮眠は長く眠るほど良いわけではありません。目安は10〜20分程度、長くても30分以内です。これくらいの短い時間であれば、深い眠りに入りにくく、起きたあとも頭がスッキリしやすいとされています。しっかり横になれなくても、イスにもたれて目を閉じるだけでも、脳や自律神経を休める効果が期待できます。「ぐっすり眠る」のではなく、「軽く休憩する」イメージがポイントです。
ベストタイミングは「昼食後〜15時頃」
仮眠をとるタイミングも大切です。おすすめはお昼ごはんのあとから15時頃までの時間帯です。この時間はもともと体のリズムとして眠気が出やすく、短い仮眠でも効率よく回復しやすいといわれています。一方で、夕方以降のうたた寝や長時間の居眠りは、夜の寝つきを悪くしたり、生活リズムを乱したりしやすくなります。「早めの時間帯に、短くとる」ことが、仮眠と夜の睡眠を両立させるコツです。
起きやすい環境づくりをしておく
「少しだけ仮眠するつもりが、ぐっすり寝てしまった」という経験がある方もいるかもしれません。これを防ぐには、起きやすい環境づくりが役立ちます。部屋を真っ暗にしすぎず、カーテンを少し開けておく、デスクライトはほんのりつけておくなど、「夜の就寝ほど本格的に整えない」ことがポイントです。タイマーやアラームを必ずセットし、スマホを手の届きにくい場所に置いておくと、目覚めのきっかけになります。仮眠前にコーヒーやお茶を一杯飲んでおくと、ちょうど起きる頃にカフェインが効き始め、スッキリしやすいという報告もあります。
眠れなくても「目を閉じて休むだけ」でOK
いざ仮眠をとろうとしても、「寝なきゃ」と頑張りすぎると、かえって眠れなくなることがあります。短い仮眠の目的は、必ず寝入ることではなく、いったん心身の緊張をゆるめることです。実際に眠れなかったとしても、目を閉じて静かに呼吸を整えるだけで、頭の中の情報量が減り、自律神経も休まりやすくなります。「眠れなくても横になっているだけで意味がある」と考え、気楽なリラックスタイムとして取り入れてみてください。
強い眠気が続くときは一度相談を
短い仮眠を取り入れても、日中の強い眠気やだるさが何週間も続く場合には、単なる睡眠不足だけでなく、睡眠中の呼吸のトラブルや、こころの不調などが影響していることもあります。自己流で無理に頑張ろうとせず、気になる症状が続くときは、早めに専門家に相談していただくと安心です。