平日は眠気と戦いながら何とか乗り切り、週末になるとお昼近くまでベッドで過ごす──そんな「寝だめ生活」が続いていませんか。実はこのパターンは、一時的には楽に見えても、体内時計に「時差ぼけ」のような負担をかけ、気分の落ち込みやイライラ、仕事のパフォーマンス低下とも関係すると言われています。
睡眠は「何時間寝たか」だけでなく、「いつ寝ていつ起きるか」というリズムが重要です。平日と休日の起床時間が大きくずれるほど、毎週末ごとに体内時計をずらすことになり、月曜日の朝ほどしんどく感じやすくなります。これが積み重なると、慢性的な疲労感やメンタル不調につながることもあります。
ここでは、無理なく「社会的時差ぼけ」を減らすための3つのポイントをご紹介します。完璧を目指すのではなく、「できそうな工夫を一つだけ選ぶ」つもりで読んでみてください。
一つ目は、「今の睡眠リズムを見える化すること」です。理想の生活ではなく、実際の就寝・起床時刻、途中で目が覚めた時間帯、日中の眠気や気分を1〜2週間だけメモしてみましょう。認知行動療法では、こうした記録を手がかりに、生活のパターンと気分の変化を一緒に確認していきます。「寝られなかった日」も含めて、評価せずにそのまま書き留めることが大切です。
二つ目は、「休日の起床時間を平日から大きくずらさないこと」です。どうしても寝不足が溜まっているときでも、起床時間のずれを2時間以内に抑え、日中に20〜30分程度の短い昼寝で調整する方法がおすすめです。夕方以降の長い昼寝はかえって夜の寝つきを悪くしやすいので注意しましょう。朝起きたらまずカーテンを開けて日光を浴びるだけでも、体内時計を整える助けになります。
三つ目は、「ベッド=休む場所だと体と脳に覚えさせること」です。寝床の中で長時間スマホを見たり、仕事や勉強、悩みごとを続けたりしていると、脳は「ベッド=覚醒する場所」と学習してしまいます。眠くなってからベッドに入り、15〜20分たっても眠れないときはいったん起きて、明るすぎない部屋で静かに過ごすのが基本です。本を数ページ読む、軽いストレッチをするなど、「落ち着くけれど刺激が強すぎない」行動を選びましょう。
それでも、「寝つきの悪さや早朝覚醒が何週間も続く」「日中の強い眠気で仕事や学業に支障が出ている」「理由の分からない憂うつ感や不安が長引いている」といったときには、一度専門家に相談してみてください。うつ病や不安障害、睡眠障害などの背景があっても、早めに対処することで回復しやすくなることがあります。薬だけに頼るのではなく、認知行動療法やマインドフルネス、職場環境の調整などを組み合わせることで、少しずつ生活を立て直していくことも可能です。