「もっと頑張らなきゃ」「これもやらなきゃ」と、やることだけが増えていくと、心も体もすぐにいっぱいになります。睡眠時間を削って踏ん張り続けると、イライラや不安が増え、メンタル不調にもつながりかねません。そんなときは、「やること」を足すより、「やめること」を決めて負荷を下げる視点が役立ちます。
とはいえ、いきなり全てを手放す必要はありません。心理学や認知行動療法の考え方をもとに、今日から取り入れやすい「やめることリスト」の作り方を3ステップでまとめてみます。
① まずは「自分を疲れさせているもの」に気づく
最初のステップは、頑張り方のクセを見える化することです。1日の中で、「これはやめられたら少しラクかも」と感じる行動を3つだけ紙に書き出してみましょう。寝る直前まで仕事のメールやチャットを確認する、SNSで他人と自分を比べて落ち込む、同じ失敗を何度も思い出して自分を責める、頼まれごとを断れずに全て引き受ける……。書き出すだけでも頭の中のモヤモヤが整理され、感情の嵐に飲み込まれにくくなります。
② 完全にやめなくていい。「少し減らす」から始める
「やめる」と聞くと、「ゼロにしなければ」と力が入りがちです。しかし習慣は、少しずつ減らした方が続きやすいことが分かっています。寝る前のスマホなら、「就寝30分前から通知を切る」「ベッドには持ち込まない」など、小さなルールからで十分です。職場のメールも、「すぐ返信」ではなく、午前と午後の決まった時間だけまとめて確認するほうが、集中力と心の余裕が戻りやすくなります。
また、頭の中で自分を責める声に気づいたら、「今、私は『ダメだ』と思っているな」と心の中でつぶやき、考えと事実を分けてみましょう。これはマインドフルネスやアクセプタンス&コミットメントセラピーでも用いられる「思考との距離を取る」技法で、感情の波に巻き込まれにくくする助けになります。
③ 空いたスペースに「回復の時間」を入れ直す
何かをやめると、少しだけ時間と心のスペースが空きます。そこに、回復につながる行動を意識的に入れることが大切です。5分だけゆっくり呼吸をする、肩や首を回して体のこわばりをほぐす、温かい飲み物を味わいながら「今日よかったこと」を一つ思い出す。そんな小さな行動でも、自律神経を整え、睡眠や休息の質を底上げする土台になります。
「一人で全部背負うのをやめる」「限界まで我慢してから助けを求めるのをやめる」と決めることも、大切な「やめること」です。必要なときに人に頼る、業務や家事を分担するなど、負担を分け合う工夫もぜひ取り入れてみてください。