心のクリニック 医療コラム
2025年11月17日
「休み方」をスケジュールに入れる──睡眠と休息の質を守る3つの工夫

「疲れているはずなのに、横になっても頭が休まらない」「休みの日ほどぐったりしてしまう」。外来でも、そんなご相談をよく伺います。睡眠も休息も、本来はエネルギーを回復させる時間ですが、現代の忙しい生活では「空いた時間にとりあえず休む」だけでは追いつかないことが増えています。

そこでおすすめしたいのが、「休み方そのものをスケジュールに入れてしまう」という考え方です。仕事や家事の予定と同じように、睡眠と休息をあらかじめ「予約」しておくイメージです。ここでは、今日から取り入れやすい3つの工夫をご紹介します。

一つ目は、「睡眠のスタート時間を決めて守ること」です。何時に起きるかではなく、「何時までに布団に入るか」を先に決めてしまいます。スマホやパソコンを触るのはその30分前まで、とざっくり決めておくだけでも、脳と体が「そろそろ休む時間だ」と学習し、寝つきが安定しやすくなります。完璧に守れなくても、「いつもより10分早く布団に入れたらOK」といったゆるい目標から始めるのがおすすめです。

二つ目は、「日中の休憩を“ながら休息”から“意識的な小休止”に変えること」です。なんとなくスマホを眺める休憩は、情報が増える一方で、脳はなかなかオフになりません。1〜3分だけでも、椅子に座ったまま目を閉じて呼吸に意識を向ける、首や肩をゆっくり回す、窓の外をぼんやり眺めるなど、「何もしない時間」を意図的につくると、自律神経のバランスが整いやすくなります。会議と会議の合間や、通勤電車の中など、生活のすき間に小さな休息ポイントをちりばめておくイメージです。

三つ目は、「一日の終わりに“がんばりメモ”を残すこと」です。眠る直前まで、今日できなかったことばかり思い出してしまうと、脳は緊張モードのままになってしまいます。寝る前に1〜2分だけ、今日できたことや乗り切ったことをメモ帳やスマホに3つ書き出してみましょう。「起きられた」「仕事に行けた」「誰かにあいさつできた」など、どんな小さなことでも構いません。自分を責める思考から距離をとり、「今日はここまでで大丈夫」と区切りをつける手助けになります。

大切なのは、「毎日完璧に続けること」よりも、「忘れてもまた再開できるくらいのゆるさ」で取り組むことです。横浜・新横浜で忙しく働く方ほど、休息は後回しになりがちです。うまくいかない日があっても、「ちょっとだけ早く布団に入れた」「1分だけ目を閉じて休めた」といった小さな変化を、認めてあげましょう。

睡眠と休息は、心の病気の予防や、うつ病・不安障害・適応障害などからの回復にも大切な土台になります。「気合いでどうにかする」のではなく、「先に予定に入れて守るもの」として扱うことで、少しずつ心と体の余裕が戻ってくる方は多くいらっしゃいます。一人ではうまくいかないと感じたときは、早めに専門家に相談してみてください。