寝つけない、途中で目が覚める、朝がしんどい。そんなとき「スマホのせいだ」と一刀両断にするより、“使い方を整えて味方にする”発想が現実的です。ポイントは①通知 ②光 ③行動の3点セット。無理のない工夫で、入眠と中途覚醒を邪魔しない夜を作りましょう。
まず通知。就床の90分前から「通知の遮断」をデフォルトに。iPhoneは集中モード、Androidはおやすみ時間で、発信元を家族など最小限に絞る。SNSは“見に行ったら見える”Pull運用に切り替え、Pushは夜間オフ。寝室では充電しないのが理想ですが難しければ、ベッドから手を伸ばして届かない位置に置きます。「手間を増やす」小さな障壁が、無意識のスクロールを減らします。
次に光。就床1時間前は明るさを落とし、画面は「自動輝度オフ→手動で最低限」に。ブルーライト自体よりも“総光量”と“距離・時間”が睡眠には効きます。暗い部屋で明るい画面を近距離で長時間見る——この組み合わせを避けるだけで違いが出ます。どうしても画面を見るなら、部屋の間接照明を点け、端末はダークモード+ナイト系の色調に。紙やE-ink端末に置き換えるのも有効です。
行動は“寝る前のタスク整理”から。ベッドに入る30分前に、明日のToDoを3つだけ紙に書き出し、「いまやらない・明日やる」へ頭を退社させます。ベッドは「眠る・親密な時間専用」にして、情報収集や動画視聴は椅子で。どうしても不安や反芻が強い日は、1分の呼吸(4秒吸って6秒吐く)で体の緊張を下げ、眠れなければ20分でいったん離床し、暗めの場所で静かな単純作業(折り紙・雑誌を流し読みなど)に切り替えましょう。これは不眠の悪循環(寝床=起きている場所という学習)を断つ基本戦略です。
昼の整えも効きます。起床時刻を毎日そろえ、朝はカーテン全開または屋外へ数分。昼間に10〜20分の歩行か階段上り、午後はカフェインを16時まで。夜は「3-2-1ルール」(3時間前に食事終了・2時間前に入浴・1時間前にスクリーン終了)を“理想形”として掲げ、まずは1項目だけ始めてください。完全主義より“継続7割”が睡眠の味方です。
最後に、スマホで“寝付きをチェックしたくなる気持ち”にも注意。入眠潜時や睡眠点数の確認は朝だけに限定し、夜のモニタリングは封印。計測のしすぎが不安を増やし、眠りを浅くすることがあります。できたことを1つ記録して、自己評価の視点を“行動”に戻すと、眠りは着実に整います。