朝から夕方まで、私たちは何百回も「どうする?」を繰り返しています。小さな判断が積み重なると、集中力が磨耗し、イライラや不安につながります。これを「決め疲れ」と呼び、放置すると睡眠やメンタルにも影響します。忙しくても実行しやすい「選択の棚卸し」で、日々の負荷を下げる方法をまとめます。
まずは一日の記録を15分だけ振り返り、「よく迷う場面」を3つ書き出します。例:昼食、メールの返信順、退勤後の過ごし方。次に、それぞれに“標準解(デフォルト)”を1つ決めます。昼食は「平日は近くの定食A」、返信は「5分で返せるものから」、平日夜は「家事→入浴→読書20分→就寝」。完璧でなくて構いません。迷う時間を短くすることが目的です。
「3択ルール」も有効です。選択肢を最大3つに絞り、基準を先に決める(価格・所要時間・健康度など)。基準に合わないものは初めから見ない。これだけで脳の消耗が大きく減ります。迷い続けるのは「選択肢の増やし過ぎ」と「基準が曖昧」の二つが主因だからです。
次に、「決めるタイミング」を整えます。夜は意志力が下がり、悲観的になりがち。重要な判断や長文の返信は、なるべく午前の頭が冴えている時間に。逆に、単純作業や定型返信は午後にまとめ、脳のピークと仕事の難易度を合わせます。
「制服化」は定番ですが、全部を一気に変える必要はありません。まずは一枠だけ。たとえば「月・木はシャツとチノ」「火・金はジャケット」と決める。食事なら「朝は同じメニュー」、運動なら「水曜は駅の一駅手前で降りて歩く」。小さな固定化が、迷いの回数を確実に減らします。
デジタルの選択疲れも見落とせません。通知はオフではなく「まとめ取り」に。メール・SNSは1日2~3回のチェック時間を決め、それ以外は見ない。スマホのホーム画面は1ページに収め、使うアプリだけに。寝る1時間前は“機内モード+充電場所を寝室外”が理想です。
予定表にも「白い帯(バッファ)」を。移動後の15分、会議後の10分など、回復と記録のための空白を先に確保しておくと、遅延や突発対応で崩れにくくなります。ToDoは毎日3つまで、残りは「やらないリスト」へ退避。やらないと決めることも、立派な意思決定の節約です。
それでも決められない時は、「最悪を避ける」基準で十分です。100点の選択ではなく、50点で安全側に寄せる。完璧主義よりも、生活を前に進めることを優先しましょう。迷いに使うエネルギーを、睡眠・運動・人との会話に回すだけで、気分の底上げが起こります。
続けるコツは、週1回の見直しです。うまく回った“標準解”は残し、合わないものは入れ替える。生活は常に変わるので、設定の更新も当たり前。柔軟に「今の自分」に合わせ続けることが、メンタルを守る近道です。