忙しい日が続くと、頭の中はタスクと心配ごとで埋まりがち。そんな時に役立つのが「感謝メモ」という小さな習慣です。特別なノートも時間も不要。寝る前や通勤中の3分で、今日あった「ありがたかった出来事」を3つだけ書き出します。人からの親切、天気、温かい飲み物、仕事の一区切り——どんな些細なことでも構いません。大切なのは「できなかったこと」から意識を外し、「既にある良さ」に目を向け直すことです。
コツは3つ。①具体化する——「同僚のAさんが資料を5分で確認してくれた」など、情景が浮かぶ言葉で書く。②手触りを足す——その時の音・匂い・体感を数語添える(湯気、秋風、拍手など)。③自分の行動に結び付ける——「お礼を伝える」「来週は自分が先に声をかける」など、次の一歩に変換します。ネガティブな出来事があった日こそ、あえて続けると効果が出やすい印象です。
続けるための仕組み化も大切です。スマホのホーム1枚目にメモアプリを置き、夜は電気を落とす前に3分だけ実行。できない日は空欄を責めず、「一言だけ」でも可と決めておくと挫折しにくくなります。慣れてきたら週に1回、書いた中から「今週のベスト1」を家族や同僚に共有してみてください。小さな共有は関係の潤滑油になり、職場でも家庭でも協力が生まれやすくなります。
もう一歩踏み込むなら、「感謝の手紙」もおすすめです。最近助けられた人を一人選び、2〜3段落で短く書いて渡します。直接渡すのが照れくさければ、メッセージでも十分。相手の具体的な行動と自分への影響を書くと伝わりやすく、相手のモチベーション向上にもつながります。受け取った側の変化が、自分の安心感や自己効力感にも跳ね返ってくるはずです。
注意点もあります。体調が大きく落ちている時期に「感謝できない自分」を責める必要はありません。気分を無理に上げるものではなく、心の焦点を一時的に調整するツールと考えてください。気持ちが沈み込み、食欲や睡眠、業務・学業に支障が出ているときは、専門家に相談しつつ、できる範囲で軽く取り入れる姿勢が安心です。
最後に、3分習慣を1日で完璧にしようとしないこと。1週間で「3日できれば合格」と緩く設計し、月末に数枚めくって読み返します。小さな良かった出来事の積み重ねは、自己批判の声を静め、困難な局面でも「助け合えるつながり」への信頼を思い出させてくれます。環境を大きく変えずに始められる心のトレーニングとして、今日から試してみてください。