仕事や子育て、人間関係。思うようにいかない日は、頭の中で「また失敗した」「自分はダメだ」といった言葉が反響しがちです。強い自己批判は一時的に踏ん張りを生むこともありますが、続くと不安・落ち込み・集中力低下を招き、回復の邪魔になります。今日から取り入れやすい「3分セルフケア・プロトコル」で、心に安全地帯をつくりましょう。
1分目:気づきを灯す
まず、今の体と気持ちに名前をつけます。「胸がザワザワ」「肩が固い」「焦りが10点中7」。評価や分析は不要です。名前をつけるだけで、感情は“自分そのもの”から“自分が観察している現象”へ少し離れます。ここで深呼吸を無理に整えようとしなくて大丈夫。呼吸は勝手に出入りさせ、「いま何が起きているか」を見届けます。
2分目:言葉を中立化する
次は、頭に浮かぶ厳しい言葉にラベルを貼ります。「“私はダメだ”という考えが浮かんでいる」と言い直すだけで、言葉の勢いは弱まります。可能なら紙にそのまま書き写し、前に「私は今、〜という考えを持っている」と付け加えます。言葉を事実と同一視しないコツが身につくと、感情の波にさらわれにくくなります。
3分目:小さな善意で締めくくる
最後は、自分に向けて短い一言を贈ります。「今日はよく頑張った」「この不安は人間なら誰にでも起こる」。続けて、価値に沿った“小さな行動”を一つだけ実行します。たとえば「5分だけ資料を開く」「水を一杯飲む」「窓辺で立ち上がる」。達成感は行動から生まれ、気分はあとからついてきます。
続けるコツは「儀式化」です。朝の出勤前、昼の再開前、夜の片づけ時の“合図”に3分を差し込むと、心の再起動が習慣になります。スマホの通知はその3分だけ止める、あるいはまとめて受け取る設定にしておくと、集中が途切れにくくなります。完璧を目指さないでください。できない日があっても、やさしくやり直す練習自体が、心のしなやかさを育てます。
うまくいかない時は、次のチェックポイントを試してください。
・言葉が荒くなっていないか(中立表現に戻す)
・体のサインを見落としていないか(強張り・渇き・空腹)
・行動が大きすぎないか(1分で完了する単位に分割)
・誰かに頼れないか(短い相談、同僚への共有)
自己批判を力業で消そうとすると、反動で強く戻ってきます。やさしく気づき、言葉を整え、価値に沿って一歩だけ進む。この順番が、明日の自分を助けます。