心のクリニック 医療コラム
2025年11月2日
“5分×3セット”で整える——仕事と私生活を守るミニ習慣リカバリー

忙しさが続くと、気づかないうちに「眠りが浅い」「些細なことで不安が長引く」「人との会話が負担」といったサインが積み重なります。放置すると集中力や判断力が落ち、仕事のパフォーマンスだけでなく、人間関係や健康にも影響します。そこで提案したいのが、1回5分のミニ習慣を1日の中に“3セット”差し込む「ミニ習慣リカバリー」。大掛かりな道具は不要、今日から始められます。

第1セットは「身体」へのアプローチ。朝または昼に5分だけ、背すじを伸ばし、ゆっくり呼吸しながら肩と股関節を回します。呼吸と関節の大きな動きを合わせると、自律神経が整い、午後のだるさやイライラが軽減しやすくなります。夜は就寝の60~90分前に湯船に短時間つかり、湯上がりの体温低下で眠気を引き出すのがコツ。寝室の明かりはできるだけ弱くし、横になったらスマホは見ない「目を閉じるだけルール」で十分です。

第2セットは「思考」を“言葉にする”時間。気がかりを3つ書き出し、それぞれ「今できる最小の行動」を1行で決めます。例えば「資料が重い不安→見出しだけ並べる」「上司への報告が怖い→伝える要点を3つメモ」など。頭の中の曖昧な不安は、言葉にして小さな行動に落とすと扱える大きさになります。終わりに、その日助かったことを一つだけ書き添えると、注意の焦点が「できていること」に戻ります。

第3セットは「つながり」を回復する5分。相手の話を遮らず、要約して返すだけの“聞き役モード”を試してください。アドバイスよりも「理解された感」が安心を生み、自分の緊張も下がります。オンライン会議が続いた日は、雑談の代わりに「ありがとう」を1通だけ短文で送るのも効果的。完璧な文章でなくて構いません。「今日は○○に助かりました」と具体的に。

これらは“続けるほど効く”仕組みにしておくと楽です。①予定に入れる(通勤後/昼食後/就寝前など固定のタイミング)②所要時間は必ず5分に固定③やれたらカレンダーに✓印だけ付ける——の3ルール。もし✓が空欄の日があっても、翌日に淡々と再開すればOK。「やれなかった自分」を責めないことが継続の鍵です。

仕事のストレスが強いと感じる時は、セルフチェックや専門家への相談も積極的に使いましょう。体調・睡眠・気分は相互に影響します。眠りを整え、小さな行動で不安を扱い、人とのつながりを養う——この3点セットが、未来のキャリアと日常の満足度を同時に守る土台になります。