仕事や人間関係で緊張が続くと、頭の中は反芻と心配ごとでいっぱいになり、眠りや集中力にも影響します。そんな時は、考えを頭内で転がし続けるより「紙に出す」ほうが早道です。ここでは準備いらず、今日から始められる“3つの書き出し”を紹介します。ストレスや適応の不調を抱える方、休職・復職期にも有効です。
①2分で「事実だけ」書く
起きた出来事を、主観をなるべく混ぜずに短文で列挙します。例)上司に資料の修正を依頼された/締切は金曜/自分はA案を提示——のように、評価語や憶測を抜いて並べるのがコツ。事実の枠組みが見えると、過剰な一般化や思い込みに気づきやすく、判断の誤りを減らせます。
②1分で「気持ちに名前を付ける」
いま感じている感情を3つまで名指しします。怒り・不安・罪悪感・悔しさなど、語を当てるだけで強度が下がることがあります。次に、その感情が教えてくれるニーズ(助けてほしい、準備時間が足りない、評価が不明瞭など)を1行で書き添えると、対処が明確になります。
③1分で「次の1歩」を決める
大目標ではなく、1〜5分で出来る最小行動を書きます。例)10行だけ下書き/上司に確認項目を3つ送る/昼に10分歩く。小さく動いて小さく勝つ——この積み重ねが、自己効力感を回復させます。
補助ワザ:1行だけ感謝を書く
小さな感謝を1行足します。「電車で席を譲ってもらった」「同僚が資料を共有してくれた」など。視野が広がり、“全か無か思考”が和らぎます。
なぜ効くのか
書く行為は、注意を“今ここ”に戻し、考えと感情を一旦ほどきます。思考の渋滞が解消されると、呼吸が深まり、夜の入眠にも良い影響が出やすくなります。感情に名を付けることで過度な警戒が落ち着き、最小行動は先送りを断ち切ります。
続けるコツ
・時間は合計5分から。朝の支度前か就寝前に固定すると習慣化しやすい。
・スマホではなく紙ペンが理想。物理的に「外に出す」実感が違います。
・週1回の振り返りで達成に◯を付ける。
・うまく書けない日は「書けない」と書けばOK。完璧主義を手放しましょう。
つらさが長引く、眠れない・食欲が落ちた・欠勤が増えている・復職の判断で迷うなど、自己対処だけで抱えないでください。専門家の視点が入ると回復は加速します。