心のクリニック 医療コラム
2025年10月19日
【月曜が怖いあなたへ】体内時計・腸・言葉で整えるメンタルケア

「会社に行こうとすると胸がざわつく」「この環境で壊れそう」――そんなサインは、うつや不安、適応障害の入口かもしれません。ポイントは“頑張る”より“整える”。睡眠・腸内環境・言語化の三本柱を、小さな行動で回し続けることが回復の近道です。休職や復職の判断に迷う方も、まずは今日からできる土台づくりを始めましょう。

第一の柱は体内時計。週末の寝だめは心地よくても、月曜の不調を招きます。起床は毎日同じ時刻に固定し、朝はカーテンを開けて2〜3分でOKの“即・朝日”。光は脳の時計を前に進め、睡眠ホルモンの切り替えを促します。夜は就寝の2時間前から照明を落とし、スマホやPCは“画面タイムリミット”を決めてオフ。入浴はぬるめで10〜15分、寝る2時間前までに。眠れない時は布団から一度出て、温かい飲み物やストレッチで“やり直し”を。量と質の両方を確保することが、不安やストレスの耐性を高めます。

第二の柱は腸。腸は情緒の司令塔と密につながり、食べ方の乱れは気分の乱れに直結します。朝はたんぱく質+発酵食品(味噌、ヨーグルト、納豆)で“脳の材料”を補給。昼は腹八分目、夜は就寝4時間前までに食事を終えるのが基本です。間食はナッツや高カカオチョコを少量に置換。週2回の青魚や、野菜・海藻・きのこ類で食物繊維とオメガ脂肪酸を意識しましょう。カフェインとアルコールは“夕方以降は控える”だけでも睡眠の深さが違います。

第三の柱は言葉の使い方。頭の中の渦は、紙に出すと輪郭ができます。朝は3行で今日のやること、夜は3行で感情のメモ。出来事(事実)/考え(解釈)/気分(感情)を分けて書くと、過剰な自己批判が和らぎます。相手に伝える時は「結論→理由→お願い」の順で短く。職場では“ありがとう”を1日1回、意図して口にすることが人間関係の潤滑油になります。対人ストレスが強い時は、“課題の分離”を意識し、自分がコントロールできる行動だけに集中を。

それでも朝の動悸や頭痛、涙が止まらない、ミスが増える、遅刻・欠勤が続く――こんなサインが重なる時は、無理を重ねないことが自分と組織を守ります。休職は“逃げ”ではなく、キャリアを長期で守る戦略。主治医と相談しながら、復職は「睡眠の安定」「日中の活動量」「通勤相当の負荷」の3点を目安に段階的に進めましょう。焦りは禁物、再発予防こそ最大の近道です。