仕事や家庭のストレスが重なると、気分の落ち込みや不安、集中力低下、睡眠の乱れが一度に押し寄せます。悪化を待たずに流れを変えるコツは、考え方をこね回す前に「体内リズム・身体活動・社会的サポート」の3本柱を小さく動かすことです。うつや不安の初期対応にも役立ち、休職や復職の土台づくりに直結します。
まずは体内時計。起床後に朝の光を浴び、タンパク質を含む朝食をとると、夜の眠りにつながるホルモンのリズムが整い、入眠しやすい体に戻っていきます。就寝前のスマホ長時間利用や遅い時間の飲食、夕方の長い仮眠は、眠りの立ち上がりを乱しやすいので控えめに。最初の睡眠サイクルを守るだけでも翌日の疲れ方が変わります。
次に身体活動。強い運動でなくて構いません。目安は「ややきつい」と感じる速歩を中心に、日中に合計30~40分の活動を積み上げること。こま切れでも効果は十分です。体を動かすほどストレスへの耐性が増し、気分の浮き沈みが穏やかになり、夜の眠りも整いやすくなります。
3つ目は社会的サポート。「頼れる相手が一人でもいる」こと自体が心のクッションになります。家族でなくても、同僚・友人・近隣との短い雑談や散歩の誘い、困りごとを相談できる窓口を一つ増やす、といった小さな行動で十分。孤立を防ぐだけで、症状の長期化を抑えやすくなります。
実践のコツは「行動を先に予定に入れる」ことです。気分が動くのを待たず、①起床後のカーテン全開とベランダで3分深呼吸、②昼休みに10分速歩、③退勤後に同僚へ1本の電話――この3つを“毎日シール”で見える化してみましょう。達成感や安心感、他者とのつながりが積み上がると、自然に思考も前向きに整っていきます。
症状が強い時は、思考のクセを変える作業は後回しで構いません。まずは「光・動く・つながる」を最優先に。睡眠、ストレス反応、神経伝達の働きは互いに支え合っています。3本柱を同時に少しずつ動かすと、回復の歯車が噛み合いはじめ、適応障害や不安症状の揺れ幅が徐々に小さくなります。休職中の方は生活リズムの再構築を、復職前の方は通勤時間に合わせた就寝・起床の前倒しと軽い運動の習慣化を意識しましょう。
つらさが続く、眠れない、食欲が落ちた、仕事や学業が著しく難しい――そんな時は医療機関へ早めに相談してください。