心療内科 日吉心のクリニック

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こころの病気について

パニック障害

パニック障害と広場恐怖症

急激に不安感が高まり、交感神経(自律神経の一種)が興奮し、動悸、汗が止まらない、ふるえ、息苦しさ、胸痛、吐き気、めまい、寒気、手足のしびれ、「抑制がきかずどうにかなりそうな不安」、あるいは「死んでしまいそうな恐怖」などが出現します。予期できない状況で繰り返し起こる場合に、パニック障害と診断しますが、特定の状況(電車、バス、自動車、飛行機、駐車場、映画館、人混みなど)で起こりやすい場合は、広場恐怖症と診断されます。年齢が若い場合、女性である場合にパニック障害が起こりやすい傾向がある、とのデータもありますが、私の診療経験に限って言えば、性別や年齢による発症頻度にそれほど大きな差はない、と感じています。

 

症状

パニック発作は、基本的には予期せず起こる不安・恐怖感の高まりであり、自身のコントロールを失うことや、死んでしまうのではないかという恐怖を伴うことがあります。また、さまざまな身体症状(自律神経症状としての、動悸、呼吸苦悶感、めまい、手足のしびれ、冷汗など)が出現する。通常は、症状のピークは10~15分程度であり、30分以内におさまることが多いです。(患者さんが救急車で病院に到着した頃には、症状はすっかり無くなっていて、「患者さんはどなたですか?」と救急隊員に尋ねる場面は、私も少なからず経験しています。)

 

診断の目安

以下のうち4つ以上を満たす状態(すなわち、パニック発作)が予期しない状況で繰り返される場合にパニック障害を疑います。ただし、乱用薬物や身体疾患(甲状腺機能亢進症など)が原因の場合は除きます。

 

・胸がドキドキする(動悸)

・冷や汗など、とにかく汗が止まらない

・手足や体の震え

・息苦しくて、息が切れそうになる

・窒息しそうな感覚

・胸の痛みや不快感

・吐き気やお腹の不快感

・めまいや気が遠くなる感覚

・しびれたり、うずいたりする異常な感覚

・現実感を失ったり、自分がやっているという感覚が乏しくなること(離人感)

・自分がコントロールできなくなり「どうにかなってしまうのでは」という恐怖

・「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖

 

原因

パニック障害のメカニズムはまだ不明な点が多いとされています。ノルアドレナリン神経系を司る青斑核が異常興奮を起こし、大脳辺縁系や大脳(前頭葉)におけるセロトニン機能低下があいまって、パニック発作に至ると推定されています。青斑核の近くには、自律神経系のコントロールセンターである視床下部が存在します。諸説ありますが、さまざまな自律神経症状(動悸、発汗、過呼吸など)は、青斑核の興奮が視床下部に伝わった結果、と考えるのがわかりやすい、と思います。

 

治療

薬物療法

抗うつ薬(SSRI、三環系抗うつ薬)と、抗不安薬を併用します。SSRIの開始初期には逆に不安が悪化することがあるため、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を併用せざるを得ないことが、しばしば起こりえます。ただし、長期に連用すると耐性・依存性が起こるため、あくまでも使い方には注意が必要です。SSRIの効果が乏しい場合は、三環系抗うつ薬を用いる場合もあります。

 

認知行動療法

状況に対する見方・捉え方(=認知)が、ネガティブな反応を引き起こすようなパターン(=認知の歪み)に陥っていないかどうかを確認し、好ましい反応を引き起こすような考え方(=適応思考)に変えてゆくことを目指します。抗うつ薬と同等の効果を持つことが確認されており、併用すれば、さらに治療効果が上がることが知られています。

 

マインドフルネス

マサチューセッツ大学医学大学院のJon Kabat-Zinn教授が、仏教の瞑想法を西洋科学と融合させる形で1979年に考案。マサチューセッツ大学にマインドフルネスセンターを設置しました。今この瞬間における自身の心と体の感覚に意識を向け、自らの心身に起こっている変化・現象をありのままに受容する方法です。PTSDやうつ病にも応用されています。認知行動療法と相性が良く、ストレスケアの分野においても、近年、注目を浴びています。

 

生活習慣

コーヒー、紅茶、煎茶、ほうじ茶、玄米茶、烏龍茶、コーラ、チョコレート、栄養ドリンク、市販薬など様々な飲食物に含まれるカフェインは、パニック発作を引き起こす要因になりえます。治療中はなるべく避け、麦茶・ルイボスティーなどカフェインを含まないものに置き換えましょう。どうしてもコーヒーが飲みたい方は、ノンカフェインの商品がお勧めです。たばこ(ニコチン)も発作を誘発することがありますが、その一方で、禁煙が精神不安を悪化させることもありますので、話は単純ではありません。睡眠不足、疲労蓄積、感冒なども発作の引き金になることがありますので、月並みですが、日頃の体調管理を怠らないことが大切です。

 

(文責:日吉心のクリニック 新開)

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