心療内科 日吉心のクリニック

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こころの病気について

うつ病・うつ状態

主な症状

感情の障害

気分の落ち込む、訳もなく悲しくなる、気が重い、といった自覚症状で現れます。周りから見ると、ため息ばかりつき、憂うつな表情をして、意気消沈したように映ります。

思考の障害

頭が働かない、判断ができない、決心がつかない、考えがまとまらない、物忘れする、といった形で現れます。呼びかけてもなかなか返事をしなかったり、同じことを言ったりするため、周囲の人はコミュニケーションがとりにくくなります。

意欲の障害

やる気が出ない、仕事が手につかない、何もやりたくない、誰とも会いたくない、体が思うように動かない、といった症状が現れます。

身体症状

うつ病の初期では、体の不調を感じることが多く、内科など精神科以外の診療科を受診することが少なくありません。特に初期のうつ病では、頭痛、頭重感、肩こり、全身倦怠感、食欲不振、便秘、動悸、胸痛、肩こり、めまい、発汗高診、ふるえ、性欲減退、月経不順などの症状も少なくありません。見かけ上、これらの身体症状ばかりが目立ち、気分の落ち込みが目立たないタイプもあり、「仮面うつ病」とも呼ばれています。

睡眠障害

不眠症は、入眠障害(=寝つきが悪い)よりも、中途覚醒(=途中で目が覚めてしまう)や、熟眠障害(=寝た気がしない)で苦しむ場合が多いといわれます。

診断基準

アメリカ精神医学会などの診断基準(DSM-5)にて、以下のように定められています。

抑うつエピソード

以下の1~9のうち5つ以上が同じ2週間の間に存在すること
そのうち、少なくとも1つは、1 もしくは 2 であること。

1.ほぼ毎日、ほぼ一日中の抑うつ気分(悲しみ、空虚感、絶望、流涙など)。

2. ほぼ毎日、ほぼ一日中における、全ての物事への興味や喜びの喪失

3.あきらかな体重減少・増加 (たとえば、ダイエットなどをしていないのに、1ヶ月で5%以上の体重が変化する状態)、あるいは、ほぼ毎日の食欲不振または亢進。

4. ほぼ毎日の不眠や睡眠過多

5.ほぼ毎日の焦燥または制止

6.ほぼ毎日の疲れやすさ、または意欲低下

7.ほぼ毎日、物事に価値を感じなくなったり、過剰に自分を責める

8.思考力低下、集中力低下、または決断力低下がほぼ毎日存在する

9. 自殺念慮や自殺企図

参考:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM-5 (2013)

いろいろなうつ病

メランコリー親和型うつ病

古典的なうつ病は、これに該当します。病前の性格として、「几帳面、仕事熱心、強い責任感、秩序を重んじる、自己に厳しい」など、まじめな性格の中高年層に起こりやすいことが知られています。現実生活の中で、「自分の心の支えとなるようなルールや秩序」を維持するのが困難になると発症しやすい。休養と服薬にて回復しやすい、などの特徴があります。

ディスチミア型うつ病

自分自身への愛着がある。ぼんやりとした万能感がある一方、あまり仕事熱心ではない。無力感、、他者への非難、回避と他罰感情。不全感があり倦怠感がある。衝動的な自傷や軽度の自殺念慮、を伴うこともある。薬物療法は効果が表れにくく、生き方なのか症状なのか区別がつきにくい。環境が変わることで急速に改善することも少なくない、などが特徴です。新型うつ病とも呼ばれます。

非定型うつ病

過眠や過食が目だったり、鉛様麻痺とも呼ばれる手足の重さや、人間関係における拒絶性・過敏性を特徴とします。ただし、メランコリー親和型うつ病の基準を満たすものは、非定型うつ病とは診断されません。パーソナリティ障害がしばしば併存します。

初老期うつ病(更年期うつ病、退行期うつ病)

50歳代になってはじめてうつ状態が現れる場合を指します。病気になる前の性格は、メランコリー親和型性格に似ていますが、不安症状、心気症状(=ささいな体の不調から、自分が重い病気にかかっていると思い込む傾向)がしばしば表面化しやすく、回復までに長期化しやすいのが特徴です。

昇進うつ病・婚約うつ病・荷下ろしうつ病

他人から見れば幸せな事態がうつ状態の原因となることがあります。「喜ぶべき状況のはずなのに・・・」という想いから、本人が言い出しづらくなり、受診・診断が遅れる傾向がみられます。周りが気づいてあげたいうつ病です。

治療

薬物療法

主に抗うつ薬を用いますが、適宜、抗不安薬や睡眠薬も併用します。治療ガイドラインに沿った治療が基本となりますが、病状に合わせた使い分けが必要であり、薬物療法に対する深い理解と経験が必要とされます。

認知療法

うつ状態にある時は、物事をネガティブにとらえる形で「認知の歪み(ゆがみ)」が出現します。まずはこの認知の歪みに気づくことから開始し、現実生活に対処できるような考え方・とらえ方(=適応思考)にたどりつく方法が認知療法です。ある状況でネガティブな感情が起こった際に、その時の状況や自然に脳裏に浮かんだ考え方・とらえ方(=自動思考)を、紙などに書き留めておきます。それを眺めながら、現実生活に適応するのにふさわしい考え方・とらえ方(=適応思考)を探ります。

高照度光療法

特に冬季うつ病に対して有効とされますが、季節性のないうつ病にも効果が期待されています。2500ルクス以上の明るさが必要ですが、照射時間を30分~60分で済ませるには、5000~10000ルクスの照度が必要となります。即効性までは期待できず、2週間程度の期間が望まれます。自然光でなくとも、人工光で効果が得られるため、室内で行うための機器も市販されています。病状悪化などの理由から外出頻度が低下している場合、治療手段として選択肢になり得ます。

電気けいれん療法(ECT:electroconvulsive therapy)

頭部の皮膚上から脳に電気を通すことで、人為的にけいれん発作を起こす方法。薬物療法では改善しない場合や、重症で自殺の危険性が高い場合などで用いられることがあります。近年では、修正型ECT(無けいれんECT)が主流となっています。副作用として、頭痛、記憶障害、躁転などが挙げられることと、再燃率の高さ(ECT施行後8週で3割、24週で8割)が課題です。

経頭蓋磁気刺激療法(TMS: Transcranial Magnetic Stimulation)

上記のECTとは異なり、磁気を用います。ECTよりも侵襲性が低く、安全性も高いとされていますが、週に5回で4週以上の長期間を要する点と、保険適応外であるため費用負担が大きい点がボトルネックとなり、残念ながら気軽に受けられる状況にはありません。
余談ではありますが、私自身、TMSの研究に共同研究者として参加した経験があります。2006年にドイツの医学誌にて評価され、論文として発表されました。保険適応になれば、当院でも取り入れたい治療法の一つです。⇒【論文はこちら】

ご家族が注意すべきこと

ご家族は精神的な距離が近い分、改善がゆっくりであることへの焦りを本人にぶつけがちですが、病状が長引いても、決して責めないことが大切です。一進一退で改善してゆくものですので、一喜一憂せずに一緒に歩む姿勢が大切です。

(文責:日吉心のクリニック 新開)

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